NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会 横浜ロシア語センター
ジェルーリ・ラリーサ先生
ジェルーリ・ラリーサ先生

講師紹介 ウクライナ出身、ジェルーリ・ラリーサ先生

 先生へ質問してみました!

(1) 故郷の町はどこですか?
 私はウクライナの南東部のドネツクで生まれましたが、子供時代をウクライナ中央部のチェルカースィで過ごしました。このチェルカースィの町を、私は自分の故郷と思っています。

(2) 日本でロシア語を教え始めたきっかけは?
 私は初め、日本語の基礎を学ぶための「ホームステイ」プログラムで日本にやって来ました。その後キーウにて勉強を続けるつもりでしたが、状況が変わり、長らく日本に留まることとなりました。娘が小学一年生となった時に、講師としてロシア語を教え始めました。

(3) 好きな食べ物は?
 私はパンが好きです。スラヴ人にとって、パンは“聖なる糧”です、日本人にとってお米がそうであるように。また、じゃがいも料理も好きです。

(4) 趣味は?
 私は読書したり、古い町や通りを散歩するのが好きです。

(5) 今一番何がしたいですか?
 私は今何よりも、自分の愛する人たちと共に時間を過ごしたり、新しい知識を得たりしたいです。

(6) 初めて来日した時の日本の印象は?
 日本の第一印象は、規律や社会秩序がきちんとあり、人々がそれらを遵守している、といったものでした。これは私をとても驚かせました。

(7) 日本の慣習の中で変だなと思うものは何でしょう?
 日本人は概して、率直に「いいえ」と言うことはありません。これは最初、私にとっては複雑で、あまりよく理解できませんでした。ですが、数年後にそれが日本人のメンタリティーの一部であることを理解しました。


チェルカースィ市の街並み
チェルカースィ市の街並み(Wikipedia より)
チェルカースィ市の位置
チェルカースィ市の位置(Wikipedia より)

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「ウクライナってどんなところ?」
ラリーサ先生に聞いてみました!

 ウクライナの国内には、ユネスコに登録された7つの自然・文化遺産があります。それは、
(1) キーウの聖ソフィア大聖堂、
(2) ケルソネソス・タウリケの古代都市、
(3) カルパティア山脈のブナ原生林、
(4) カームヤネツィ=ポジ―リシクィイの歴史建造物保護区、
(5) ウマニのソフィーイウカ公園、
(6) キーウのペチェールシク大修道院、
(7) ホールティツャ島とホトィン要塞
です。

 今回、私はユニークな吹奏楽器トレンビタを皆さんに紹介します。スロヴェニア人やウクライナ人、ポーランド人、クロアチア人の間で用いられている民族楽器で、ウクライナのカルパティア山脈の東部や南西部のフツーリシュチナで広く使われています。トレンビタは、大昔は村の羊飼いの連絡手段として用いられていました。羊飼いはトレンビタを使って、家畜の群れの到着や放牧の場所を同じ村の住人に伝えたのです。このトレンビタの独特の音色が、遠く離れた場所から人々に情報を前もって伝えることで、様々な危険から回避することができました。戦争の時には、トレンビタは侵略者が近づいてくることをも知らせたのです。

 興味深いことに、この楽器を作る際には落雷した木の幹が用いられています。トレンビタ特有の響きを出すためです。このことについては数多くの伝説があり、フツル人の間では、雷と共に創造主の声が木に宿るのだと言われています。トレンビタの内部にカルパティア山脈の霊魂が住みついているとも言われています。

 この楽器を作るには、少なくとも樹齢120年は超えている木を切り倒し、硬化させるために丸々一年間放置します。次の段階が一番難しいのですが、木の幹を半分に切り、木心を削り取ります。木の厚みをほんの数ミリとし、長さ3~4メートルに仕上げていくのです。仕上がった半分と半分の部分を接着するためには、白樺の樹脂が用いられ、白樺の表皮が巻き付けられていきます。トレンビタは長さはあるものの、重さはおよそ1.5キロほどです。この楽器は、最も長い吹奏楽器としてギネスにも認定されています。ウクライナのポリーシャ地方では、長さ1~2メートルほどの短いトレンビタを見ることができます。

 トレンビタはカルパティアに暮らす人々が生涯用いた民族楽器です。人々はトレンビタによって、赤ん坊の誕生を告げ、結婚式やお祭りに人々を招きました。さらにトレンビタは、人々の死を告げ知らせる音も奏でました。

 今日、このトレンビタの見事な音色は、民族音楽のコンサート会場で聴くことができます。

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事務局連絡

 9月と10月に秋期集中講座「句読点」のクラスが開かれます。
 日本語と異なり、ロシア語には、句読点の置き所などきちんとしたルールがあります。
 ロシア語のさらなる魅力に触れてみてください♪

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編集後記

 ロシアとウクライナの間の戦争はいまだ終わりが見えません。
 今回はウクライナ出身のラリーサ先生に取材し、様々なお話をうかがいました。
 戦争が一日も早く終わり、双方の国に平穏で自由で温かな日常が戻ることを願ってやみません。

(大山)

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