NPO法人神奈川県日本ユーラシア協会 横浜ロシア語センター

冬の読書会
チェーホフの「悪人」≪Злоумышленник≫(1885)を読む

講師:竪山 洋子(横浜ロシア語センター講師)

「この短編はトルストイがチェーホフの傑作のひとつと認めていた。
ゴーリキーの回想録では、トルストイが『彼の創作手法は優雅に真実に迫るもの』だと感嘆し、若い作家らに手本であると紹介していた。
『チフス』、『かわいい女性』『発作』『悪人』『決闘』や他の多くの作品が、チェーホフの作品のとびきりで、深みのあるものだと語った。」
モスクワ・オリンプ社 1993年発刊「チェーホフ 中編・短編集」のコメントより抜粋


日時2019年12月21日(土)16:30-18:00、12月22日(日)16:30-18:00(全2回)
講座の内容作品を通じてより多くの語彙・慣用句を獲得し、構文と親しみ、ロシア人気質に触れてみましょう。

●1日目 オーディオブックをよく聞いてきていただき、朗読を皆で楽しみましょう。会話形式になっているので、役割分担して、朗読劇をしてみるのも楽しいかもしれませんね。

●2日目 参加者で分担し、訳を用意してきていただき、皆さんで、内容を掘り下げていきましょう。
予習の課題 ●オーディオブック (YouTube) 2000226 Аудиокнига. Чехов Антон Павлович. ≪Злоумышленник≫

●テキスト (Библиотека) Авторы/Чехов/Злоумышленник
受講対象者ロシア語能力検定3級以上のレベル。格変化は勿論、動詞の体、形動詞・副動詞の学習を終えている方。
会場横浜平和と労働会館 5階教室
受講料(全2回分)会員7,000円、一般8,000円
最少開講人数3名
お申し込み・受講料納入締切12月19日(木) ※受講料納入をもって正式なお申し込みとさせていただきます。

1. ご用件、お名前、電話番号、Eメールアドレス、受講希望の旨を横浜ロシア語センター事務局にご連絡ください。

こちらのメールフォームに必要事項を入力・送信してください。
ご用件欄で「受講お申し込み」を、希望クラス欄で「12/21,22「冬の読書会」」を選択してください。

または Tel/Fax: 045-201-3714 へご連絡ください。
※電話・来所の場合、平日・土曜12時~18時

2. 開講決定後、ご案内に従って、12月19日(木)までに受講料をご納入ください。
料金のページ記載の指定口座のいずれかへ、または教室事務所にて直接お願いします。

2019年12月21日、22日

 読書会1日目はロシア語でチェーホフのユーモアを感じようと音声と一緒に読み上げるシンクロリーディングを試みました。そして、要所要所を拾って読み主人公の人物像を把握し、物語の流れを把握しました。

 2日目は、それぞれが分担して訳しました。より深く物語を掘り下げました。最後に、登場人物の気持ちになって朗読劇をしました。皆さん上手でした。

 参加者の読後感は、いろいろでした。
「深読みすれば、社会体制への批判ともとれる」
「単純にこの主人公の悪党ぶりを忠実に写実している」
「噛み合わない会話に爆笑する物語」
「本当に悪なのは何なのかと考えさせられる」

 短い物語の中に、たくさんの示唆がある、何より、お腹を抱えて笑いたくなるチェーホフのユーモアをたっぷりと楽しんだ読書会でした。

(竪山)

★読書会参加者による訳

 予審判事の前に、ひどくやせっぽちの百姓男がたっている。男は裸足だった。
「デニス・グリゴーリエフ!」
「もっと近くにきて私の質問に答えなさい!レールを枕木に止めるナットを抜いていたのがお前だ。ほら、これだ。このナットだ。相違ないか?」
「何だってぇ?」
「すべて、この通りか?」
「分かり切ったことさ」
「よろしい。ではお前は何のためにナットを外したのだ?」
「何だってぇ?」
「その “何だってぇ”をやめて、質問に答えろ!何のためにナットを外したのだ?」
「必要なかったら抜いたりなんかしねえ」
 天井を横目で見ながら、デニスは嗄れ声を出す。

 ―――続きは、参加者訳の小冊子でお楽しみください。
 ご希望の方には教室事務局で配布していますのでお申し出ください。

神奈川県日本ユーラシア協会機関紙
「日本とユーラシア」2020年2月号
より